第12回公演はChiradzulu(チラズル)です。
チラズルはマラウイ南部に位置し、ブランタイヤとゾンバの間にあります。
今回、お世話になった会場はMary View School Hall.
PICOワゴンが到着すると、会場の中にはもう何人もの人が集まっていました。
どうやら、教員向けの研修とサイエンスショーがダブルブッキングしてしまっていたようで、
集まっていたのはそのためだったのです。
オーガナイザーである渡邉隊員が話をつけて、サイエンスショーが無事、本日公演できることになりました。
そして、本日のサイエンスショーの人員配置が発表されると、おのおの持ち場で段取りを進めていきます。
まずは、お客さんの呼び込みで集落の中を宣伝して歩き回ることが私の仕事です。
海外では犯罪にあわないように「目立たない」という原則がありますが、
お客さんの呼び込みで必要とされているのは逆に「目立つ」こと。
より多くの人の眼を引き、興味をもってもらうためにはどうしたらいいか、
戸惑いの連続です。
とりあえず、何でもチャレンジということで、
「い~しや~き~い~も~♪おいも!」
と恒例のアナウンスから始めます。
今日は1時間ほど、メガホンをもって「おいでー!おいでー!サイエンスショー始まるよー」と
言って歩き回ったのですが集まってくれたのは4~5人。
現地の人にメガホンで宣伝してもらったり、音楽を流してみたり、一人一人に声をかけてみたりと
いろいろ試してみても、集まってくれたのは10人前後。
人を集めることの大変さを感じます。
開演まで時間もなくなり会場に戻ると、そこには研修で集まっていた現地の教員の方々がサイエン
スショーのためにその場に残っていてくださり、満員御礼です。
会場の7割ほどを大人の方で占めていますが、満席になっていることに一安心です。
そして、いよいよ青少年活動の隊員による前座の時間がはじまります。
今回は私が担当させていただきます。
事前に現地の方に通訳をお願いして、いざ。
地図上で日本の位置を確認した後、簡単な日本語のあいさつ紹介をします。
ただの“外人”が何かショーをしているのではなく、
“日本人”がサイエンスショーをやっている。
と、見に来て下さった方に少しでも覚えておいてもらえたら、嬉しく思います。
もし、その国の位置や言葉を少しでも知ることができたのなら、
それだけで、前より身近に感じられる国になるのではないかなと思います。
そんな思いをのせて、子どもに問いかけます。
「日本はど~こだ?」
すると5歳ぐらいの少年が勢いよく手をあげます。
彼を指名するとスタスタと舞台の正面まで来て、周囲の不安げな眼差しをよそに、地図でバシッと日本を指します。
大正解です。
これには会場全体が驚いているかのように拍手がわきあがります。
その流れで、日本語の「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」を紹介して、前座を終えました。
すると、いよいよサイエンスショーが始まります。
実はこのサイエンスショー、科学とはまったく関係ない場面が一つだけあります。
それは、私の唯一にして最大の出番!
そう。 ショーの幕開けに、朝を知らせる“ニワトリ”のシーンです。
開演時の観客の緊張を一気に崩すための力技の演出です。
首の動き方から餌の探し方まで、ディティールにこだわり演技させていただきました。
ニワトリの退場とともに、会場中に巻き起こる笑いで、任務完遂です。
ここまでで、サイエンスショーの私の役目は8割を終えます。
しかしながら、ここからサイエンスショーは本編を迎えます。
本編については、今回も大きな失敗もなく無事終了しました。
ところで、このサイエンスショー。
理数科教育以外の面からも子どもたちに対して、アプローチできているのではないのかな思います。
もちろん科学に対する好奇心を刺激し、将来の科学者を生み出すかもしれません。
しかしそれだけでなく、もっと言うと、「子どもの感性を育む」ことにも当てはまる部分が多いです。
たとえば、このサイエンスショーには、「不思議だなー」と感じたり「すごい!」と驚いたりするような実験がたくさんあります。
鑑賞することを通して、子どもがその面白さや楽しさ・よさを感じ取ることができます。
それは同時に、子どもが感じたことや想像したことを絵や音楽・ダンス・言葉に表す力にもなります。
これらは一時的なものではなく、持続的に働くものであり、その積み重ねの一つをサイエンスショーは担っています。
理科だけでなく様々な領域で、子どもの成長によりよい影響を与えることは、理数科教師隊員の活動としてのものだけでない可能性を感じます。
また、なにより私自身が、このサイエンスキャラバンに帯同させていただき、得るものが大きいなあと感じる日々です。
現地語や現地の子どもとのかかわり方などの技術的な面。
長距離を移動しながら見知らぬ土地でも活動していく自信。
同じ志をもって協同する仲間。
これらは自分の任地に戻り、本来の活動を行う上でも今後、必ず糧になるのではないかなと思います。
マラウイで協力隊の活動を行えていることに感謝いたします。
少し余談過ぎたこと、ご容赦ください。
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