2013年8月8日木曜日

2013年 第13回公演 Mulanje

2011年に始まり3年目のPICO factoryキャラバン。
これまでマラウイ国内たくさんの地で公演をしてきました。

そんな中、唯一の3年連続公演となるMulanjeへ行ってきました。
マラウイ最高峰のMulanje Mountainの麓の町です。



一昨年・昨年の公演後には
ユースクラブの活動で実験にトライしてくれるなど、
その後につなげてくれている地域です。


そんな3年目の公演となったMulanjeで、
私、新(あたらし)が、初となる“女性Dr. PICO”をやらせていただきました。

ちょっと私的なブログになってしまい恐縮ですが、
過去の経緯も含め、
いろいろ思うところのあった今日の公演について書かせてください。

私にとっても3年目のPICO factory。

◆1年目(2011年)

先輩隊員さんが取り組まれていたものを、
一人の観客として観にいかせていただきました。
マラウイに赴任して間もなくて、
「いいなあ」と思いながら、参加することができず少し歯がゆい思いをしました。




◆2年目(2012年)
キャラバン隊の一人として参加させてもらい、
無声劇の登場人物の女の子、Ence(エンス)を演じさせてもらいました。




◆そして、3年目(2013年)
キャラバンのオーガナイザーをさせていただき、
加えて、前半は昨年に引き続きEnce役、
後半は、新しい役者さんにバトンを渡し、
裏方やサポートの黒子さんとして参加してきました。


それぞれ違った取り組み方をしてくる中で
いろんな面を見てきたPICO factory。
どのポジションも、その人達にしかできないこと、
見えないものがあると感じてきました。

配属先の活動も終わり、このキャラバンが終わった直後、
私のマラウイでの任期は終了し、日本に戻ることになります。
なので、今年のキャラバンが
自分が直接かかわることのできる最後の回となります。

そこで、みなさんにわがままを言わせてもらい、
まだ唯一(?)自分が見ることができていない世界…
見に来てくれた子どもたちへ、
実験の解説を含め科学の面白さを、
そして、彼らの未来へ向けたメッセージを語りかけることのできる
Dr. PICO役を、やらせていただくことにしました。



さて、実際にやってみて。



ちゃんとDr. PICOのトレードマーク、メガネとひげをつけてです。

子どもたちに最前線で触れることができる、Dr. PICOの役。
現地語(チェワ語)の台詞を言いながら、どんなふうにできるのか、
可能な限り会場の子どもたちを見て、感じて、色々なことを考えました。

伝えることの難しさ、
伝えられないことのもどかしさ、
伝わることの嬉しさを、その一瞬一瞬に感じることができました。


子どもたちのまなざしを感じます。



今年初めて演じている役者さんたちもすっかりベテランに。
子どもたちをがっちり惹きつけています。



子どもを呼んで、より近くで一緒に科学を楽しむ場に。




Dr. PICOとして、
子どもたちをショーの空気に乗せること、
ひとつひとつの実験の解説、
・・・大切なことはたくさんあります。

でも、その中でも、Dr.PICOをやらせていただく上で
私が大事にしたかったもの。
PICO factoryが始まった2011年からほぼ変えていない、
ショーの最後、Dr. PICOから子どもたちへのメッセージがあります。




ちょっと長くなりますが、
PICO factoryでとても大切な言葉。ご紹介させてください。

=======
Zikomo kwambiri.
ありがとう。

Kwa lero tilekeze pomwepa.
今日はこれでおしまい。

Koma ndilindi mawu pang’ono.
でも最後に君たちに伝えたい事がある。

Zonese taona zi ndi sayansi.
今日、君たちが見たもの、全てはサイエンスじゃ。

Sindine wamatsenga kapena sing’anga.
わたしはマジシャンでもなければ、ウィッチドクターでもない。

Ndine wa sayansi.
わたしはサイエンティストだ。

Mudzkhala wa sayansi ngati ine ngati mutalimbika.
そして、君たちも望んで、勉強すれば、わたしのようになれる。

Muli ndi luso lokwana.
君たちなら十分素質がある。

Muone bwinobwino, lingalirani mozama ndipo yesani.
よく見て、よく考えて、最後までトライし続けること。

Tsogolo la Malawi lili m’manja mwanu.
マラウイの将来は君たちにかかっている。

Ukhoza kukhala m’modzi wa inu kapena iwe kumene.
この中の1人でもいい。君か?いや、君かも知れない。

Ndikuyembekezera kuona inu mukusinta umoyo mmalawi chifukwa cha sayansi.
サイエンスの舞台で活躍し、マラウイをより良くしてくれるのを楽しみにしている。

Zikomo kwambiri chifukwa cha kubwera kwanu.
今日は、来てくれて本当にありがとう。

Ngati mphataso yomariza, ndikupatsani Malawi a chikhulupiriro.
僕から最後の贈り物として、君たちに希望の炎をプレゼントしよう。

musasokonekere.
よーく見ておくんだよ。

=======

と。

そして今日は特別に、女性Dr. PICOとして
女の子が前に出れる機会まだまだ少ないマラウイにおいて、
「この中の1人でも…」の台詞に続けて、

Anyamata …ndi Atsikananso, ngati ine.
男の子。そして、女の子も。私のようにね。

という言葉を勝手に付け加えさせてもらいました。
サポートに来てくれていた、Mulanjeの女性隊員さんが
そのフレーズに気付いてくれていて嬉しかったです。


新たな役をやってみて気付くことはとても多く、
「もっと良くできたのに」と思うところもたくさんあります。

それでも、この、Dr. PICOの最後のメッセージを
直接子どもたちに向けて話すことができたこと
そのことは、3年間PICO factoryを見てきた身として、とても大きなことでした。

見に来てくれたMulanjeの子どもたちのうちの一人にでも・・・
・・・どの実験も興味深そうに見て、うなずいてくれていたあの男の子、
・・・最後、「女の子もね」と指さした時に、はにかんでいたあの女の子、
誰かひとりにでも、届くものがあったらいいな、と思います。


様々な要素や、多くの人の力を組み合わせて
場を作り上げるPICO factory。
いろんな面を見ることで(音響は・・・やってませんが。。)、
それぞれから見えるものを知ることは非常に興味深いです。

それらを合わせることで、
よりよいショーを作っていけるのではないかなと思います。


今回は、メンバーみなさんからの後押しを受けながら、
貴重なDr. PICOを経験させてもらいました。
特に、前夜の練習(ひたすらチェワ語台本を話す)につきあってくれ
本番中も舞台裏で励ましてくれた同期の平塚隊員。ありがとうございました。


------------------------
さて、今日の実験紹介です。
Dr. PICOが最後のメッセージの後に見せる、「希望の炎」。
グリセリンと過マンガン酸カリウムの混合による強い発熱反応
(過マンガン酸カリウムが強い酸化剤として働きます)で発火させる実験です。



子どもたちだけでなく、大人もびっくりの実験です。
------------------------

2013年のキャラバンも終盤に差し掛かってきました。
残り公演もみんな全力でがんばります。


==
【本日の投稿者】



新江梨佳(あたらし えりか) 23年度1次隊
マラウイ、理数科教師 ンサル中高等学校配属。
配属校で生物学の授業を担当するほか、
サイエンスクラブや近隣学校間の連携作りなど、
周囲の生徒・教員を巻き込んでの活動に取り組む。
PICO factoryでは、女の子Ence(エンス)役で2年間の参加。
今回、最初で最後のDr. PICO役を演じた。
blog: http://ameblo.jp/atarashierika

==

0 件のコメント:

コメントを投稿